(Photo_ 熊取平。ブナ林の紅葉。鹿角方面を向く。反対側には十和田湖の外輪山、そして八甲田山がそびえる。)
2020年11月1日
秋田県鹿角市熊取平
俺はこの景色を見たかった。そして撮ることがかなった。もう何も言うことはない。これで十和田をあとにすることができる。
その空間は熊取平と呼ばれている。十和田湖をつつこみむ外輪山の南側にある山野だ。もう少し説明すると、外輪山は高さ700メートルほどある。その山がなだらかに標高を下げ、500メートルまで落ちたところ。そこが熊取平だ。その間の距離は7キロ。そこは原生林と植林とが入り交じった空間だ。そこをゆったりと飛びたかったのだ。俺にはこの空間が十和田湖と外界とを隔てる結界に見えていた。
都合4回目のフライトでそれは達成された。一度目は、不明な風に翻弄され高度を落とすことができず敗退。二度目は十和田湖と熊取平の両方を攻め、帰還時にはバッテリーを使い果たしていた。寒さだろう。残量計算が狂った。三度目は外輪山を越える北風(ローター)が強く、その空間にたどり着けず。そして四度目。強い南風のなか撮ることができた。幸運にも強風におされホバーリング状態だったので、じっくりと眺めることができた。
今日がラストチャンスだった。紅葉の色味も今日が限界だった。そして天気の推移をみても、明日以降は雪だった。そしてふたを開けてみると曇天。しかし、それが幸いした。飛行中に僅かにさした日差し。それが霞を発生させ空間は神秘性を帯びた。太陽がガツンとあたる紅葉はそれはそれで言うことはない。しかし、しっかりと色と空間を見るならば、光がフラットに回る曇天がいい。
飛ぶ直前にNDフィルター(減光)をクリアに変えていた。これで光が少なくても撮れた。グライダーも旋回性をあげるチョイスをした。これで谷間や尾根線をより自在に飛んでいくことができた。そして最後に三上さんの芝生生産地の撮影に挑んだ。超低空で迫ると、職人さん達がおおいに場を盛り上げてくれた。プリっと尻を出したオッチャンもいたな! そんなこんな細かな積み重ねが撮影行に輝きを与えてくれた。
(Photo_熊取平ベース。三上さんの芝生産地。低空飛行にはいると職人さんはケツを出して応戦してきた。録画済。)
熊取平には8日滞在し、3フライト。その間、俺はベースに張り付き、一度も山を下りることはしなかった。なので風呂はなしだった。張り付くというと一本気な感があるが、そうではない。風呂ごときのために、わざわざ下界に降りて猥雑なあれこれに触れたくなかった。これが本音だ。俺は熊取平の空間が好きになっていた。熊取平は戦後、新潟と富山からやってきた開拓者が切り開いた大地でもある。そのことはまたふれたい。
空間に上下はない。空間に善し悪しはない。そこに営みがあり、自然との距離感がその土地だけの色を見せてくれる。そのことを肝に銘じて飛び続けてきたが、また一つ、心に特別な場所ができてしまったようだ。また訪れるだろう。次は、緑の季節に。
Have a nice day !!!
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