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【山形・最上川】田んぼの中に風車!?


【写真】日が昇ると風が起こる。それを受けて回る清川の風車。田んぼの中に建っている。

【写真】同じ場所の風車。日中は海からの風を受けて回る。

【写真】庄内の海、日本海で回る風車。浜風をうけて回っている。10時を過ぎると海風に変わる。



風力発電の風車。ドンドンドンと立ち並ぶ風車の大きさはまちまちではあるが70mから100m程の高さがある。風車は海岸線か山の尾根線にあることが多い。常に風が強く吹くところだからだ。風車を立てることの善し悪しは置いておいて、効率を考えるとそうなる。だが、ここ清川(現:庄内町)では平野の田んぼのド真ん中に建っている。用地買収で田んぼを破格で買い取ったのだろうか、そんなことを考えていた。すると、いろいろとリンクしてきた。一発飛ぶと見えてくるものだ。そう、清川の出し風。以前お話しした最上峡を吹き抜ける東風。あの風を使って風車を回しているのだった。風車は最上峡をぬけると直ぐのところに立ち並び、その背後にはドーンと庄内平野が広がっている。この場所を松尾芭蕉は奥の細道で「五月雨を集めて早し最上川」と詠んだ。集めて早しは水だけでなく、風をも早し最上峡ということだろう。


風が強いところで、稲の育成はどんなものなのだろうか。何人か農家さんに尋ねてみると「強い風が吹くことで根がはり強い稲が育つ、ブンケツにもいいんだ」(ぶんけつ:苗をうえて30センチくらいに伸びたとき稲の根元から新しい茎が出てくること。株がドット増える感じだ)。「風が吹くと苗を植えるときに水が偏ってしまって、地面の固さが変わってしまい、厄介だ」。「東風はフェーン現象をおこして、唇がわれたよ」。悪風は一様に悪いのかと思いきや、風と共存している様がうかがえた。


もう一つ、米処庄内平野ならではの話を。今でこそ収穫を終えた米は乾燥機に入れられ精米をへて口に入る。見事なまでに機械化がなされている。乾燥機のない時代の話に地域色をみることができた。関西ではそれをハサガケという。田んぼのなかに竹で長大な物干しをつくり、そこに稲の束を掛けて米を乾かすのだ。僕が六期ほど行った米作りでも、一番気を遣ったのがこのハサガケだった。乾燥させるのに二週間ほどの時間を要し、その間に雨がふると脱穀に入れない。天気との駆け引きが続いた。また、物干しが倒れることもあり、そこは力量が試されるところだった。ハサガケは面倒だが、やるだけのことはあるのだ。仕上げた米は格別に風味があり旨かった。同じ米でも乾燥機に入った米と差は歴然だった。農家さんが自宅用の米をハサガケするのには理由があるのだ。



一方、米処の庄内平野で米を乾燥させるときは、田んぼに1本の杭となる木を垂直に打ちそこに稲の束を重ねるという。それが等間隔で風通しよく立ち並ぶ。関西のハサガケに対し庄内では杭掛けという。風を面で受けるハサガケよりも単体でうける杭掛けのほうが風に対して強い様は想像に難しくない。米の乾燥方法は地域性がよくよくでるようだが、ここ庄内平野は特に風が強く独自の対策が為されていたようだ。


清川の出し風は春から秋にかけて吹く。そして冬になると常時日本海からの西風がふく。庄内人はこの風と共に生きてきた。ところ替われば風も変わる。庄内は風の街。


Have a nice day !!!



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